旭化成建材の杭打ちデータ改竄問題が起きました。まだ詳細はわかりませんが、担当者が納期やノルマを達成するために掟を破ったように思います。その上司はそれを見抜けなかったようです。それにしても東芝も東洋ゴムも大企業が起こしている意図的でかつ悪質な問題が続いています。

私はこの根本的な原因は企業の組織運営に潜む、以前から現場で危惧されてきたことがいよいよ会社の存続を揺るがすほどの問題になってきているからだと考えています。

それは欧米にならった(ならわざるをえなかった)短期的な成果主義、つまり成果を追求するための組織をつくり、人事管理するという、企業のごく当たり前の行動の歪みにあります。

この高効率な成果主義の徹底が、日本の企業の組織が育んできた、目に見えない、数値化できない企業への忠誠心や愛着、伝承といった人間的なつながりを土台にしたものを企業文化や風土から消しているからです。

何が職場から消えているか?例えば、管理職とは同時に教育職でした。部下に自らが仕事をやってみせて、数々の問題の対処方法を身を持って教える役目です。さらに以前は一緒に人生を生きる先輩パートナー的な役割もあり毎晩のように赤提灯で、時には自宅に呼んで酒を飲み仕事以外のことまで話をしました。
また昔は無かった仕事のマニュアル。マニュアルには書ききれないノウハウ、あるいはマニュアルには書くことを求められないが優秀な先輩が大事にした考え方などは全く後輩に伝わらなくなりました。

旭化成建材の問題で言えば、上司は担当の仕事を理解しておらず、おそらく部下の抱える悩みや仕事の相談などの人間的なつながりも無かったのではないでしょうか?最低限のマニュアルレベルの管理だけを指示されて、会社の言うとおりにやっていたというのが上司のいいわけでしょう。一方当事者の担当者は、無理なノルマや納期に縛られてこのままで事故が起きる可能性があることを指摘しても上司も取り合ってくれずに、しだいに会社への忠誠心や帰属意識も薄れて自分の都合だけで仕事をしていたのではないでしょうか?

このような無機質な企業の統治が進み、経営者や管理職は自分ができないことまで部下に押し付けて成果を評価しています。職人気質で伝承されたことはこの20年くらいであらゆる職場から姿を消しました。

この結果、社員が会社を騙し、結果として企業が大事な顧客の信頼を裏切るという考えられない不祥事となって企業を襲っています。まるで気がつかないうちにシロアリに蝕まれた家のように内部崩壊しているのです。

唯一の対策は社長が意識を考えることです。

現場の力を復活させなければなりません。そのためには退職したOBや定年間近の現場力を知っている社員を動員してでも失われたことに目を向けるべきです。今やらなければ本当に大事なナレッジが全て消えてしまいます。企業のトップとは全体を様々な視点で見る役割のはずです。問題を探して担当者を処罰するなんて誰でもできます。

写真は仙台の勾当台公園です。

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