北陸地方のある中小企業の会長から事業承継コンサルを依頼されたのは昨年のことです。

その依頼は、「事業承継により、親族が会社の社長、役員になっているが、会社の業績が芳しくない。いくら注意しても誰も聞かない。なんとかしないと会社がおかしくなる」ということでした。

会長は一代で会社を立ち上げ、今80歳。まだまだ若々しく、その気になれば社長に復帰できる気力もあるようですが、今まで身を粉にして働いてきたこと、数年前に一度病気で手術をしたこともあり、なんとか親族で会社を発展してもらいたいと願っての依頼でした。何より、今更社長に戻っても、また自分に頼るだろうから、将来的になんの解決にもならないと考え、それなら、外部のサポートを受けてでも事業承継を成功させたいと望んでいます。

この会長は若い頃は運送の仕事をしていましたが、そこで運んでいたある食品に目をつけて、自分で創業したとのことでした。まず、資金を集め、工場を作り、試作を繰り返し、できたら自らが売りに行く。売れたお金でまた原料を買い、次の商品を作る。売れていけば、工場が狭くなり、保管のスペースが必要となったりと、儲けは全て設備投資に回り、さらに借金も膨らみます。これを続けて約50年。今では、無借金で、売り上げも10億近くにまで拡大して立派な企業に成長しました。

そこに至るまで、どんな苦労があったのかを若い親族は知りません。入社した時はすでに安定して会社が回っていましたから。それぞれが、ある一部分の仕事を担当して、全体の把握にはそれほど興味も無ければ、社長となってさらに売り上げを伸ばそうなどとの意欲もそれほど持ってなかったようです。むしろ、実力や貢献に相応しくない給料をもらい、貰えばもっと欲しくなる人間の性で、会長から見れば、経営の苦労も知らない連中が、地位と報酬を要求してくるなんて100年早い!と言わんばかりの心境のようでした。

しかし、無慈悲にも年齢は重なり、病も押し寄せてくる中で、、今、まだ自分が助言やサポートもできるこのタイミングで先の心配をしながら、社長の座を譲り、親族での経営に舵を切る決断をしたのです。

当社がこの会長からコンサルを受ける時、会長自らが東京の当社にわざわざ出向き、私に苦しい中にもコンサルで打開できる可能性も感じて熱く過去と今の想いを話してくれました。私はすぐに感じました。この会長はコンサル契約先の社長海老一宏を見にきたのだと。自分の想いを理解せず、口先だけの会話しかできない社長なら、判子を押さずに帰るつもりだと思いました。

彼は、最後に私に自分の確定申告書を見せて、個人として今だに投資で会社の利益ぐらいは稼いでることを証明して見せ、私の免許証のコピーをもらいたいと言いました。免許証のコピーが何の役に立つかはわかりませんが、自分の会社の命運を一部託す会社の社長が本当に会社案内やホームページの人間かどうかを自ら確かたのだと思います。こんなことは私も初めてでしたが、失礼とは全く思いませんでした。

これが中小企業の創業社長なのです。


今日も一日笑顔で元気に!
アクティベイト株式会社
代表取締役社長 海老一宏

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